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友人Wと山形旅行の序章

2026年2月28日

大阪で高校生をやっていた友人Wが遊びにきた。

車で山形駅まで迎えに行く。

酒が飲めないことを惜しみながら、西口の霞城セントラルにあるバーでお互いの近況を話す流れになった。

Wは変わった人物で、当時なんかはインド文化とウォンバットが好きだった。

WとしたのはウォンバットのWとして。

でも聞けば、もうウォンバットのブームは終わっているらしい。

くたくたに汚れた、Wが愛用していたウォンバット筆箱が今どうしているか考えたくない。

こういった時、お互いの近況なんてものをただ話すのではなく、クイズ形式にした方が間が持つし会話が一方的にならなくて良い。

Wが言う。

「どこに転勤すると思う?」

今回の起点はこれだった。

講釈を垂れるほどのことではないが、対して相手は、これに対してYesかNoで答えられる質問を投げかけて会話を進めていく。

積もる話はまだまだある。

私は数手で当てに行くつもりで質問をした。

それでもまずは、ざっくりと。

「今より南?」

「はい」

Wはその時関東圏に勤めていた。

それより北の線が消える。

腹に一物抱えた表情から、まさか山形に来るのではと期待していたのだが。

「九州?」

「いいえ」

「名古屋?」

「いいえ。全然遠いわ」

ここからはもう泥沼だった。

「四国中国?瀬戸内?沖縄、は九州やもんな」

「違う違う」

箸にも棒にもかからない。

関東以南の都道府県を軒並み上げた後、見かねたWがしたり顔で呟く。

「……Hは世界に目を向けなあかんで」

オッカムの剃刀。

残ったのは単純な答えだった。

「赤道より、下?」

Wが念の為と携帯を取り出し調べる。

「違う。上やわ」

意外だった。暑そうな国は等しく赤道直下と言われたりするので。

「インドなんやろ」

「そう!」

インドだった。

思っても見なかった答えであるはずなのに、想定内でもあった。

「シンガポールと二択やってんけどな」

インドに対して失礼を承知で、普通ならシンガポールだろ、と思う。

でも、カラオケでインドの歌謡曲を入れ、インド料理屋で店員と会話を楽しむ制服姿のWの姿が懐かしく脳裏によぎる。

それにしたってWのことを思えば門出であるが、身の心配も大いにある場所だ。

かける言葉に迷うまでもなく、その両方を私は伝えた。

 

最初こそ、ブログの内容はこの後に展開する山形旅行(天童で果物狩りをし鶴岡の加茂水族館)になるはずが、この時以上に書きがいのあるネタは上がらなかった。

「往復5時間も運転頑張ったのに」という気持ちを胸にしまいつつ、つまりは悪いことは起きず無難に楽しめたことだけは確かに記しておく。

なんなら、このすぐにWが言うことには、

「すきぴができてんけどフラれてん。なんでやと思う?」

「そもそもあの中央アジアの人はどうしてん?」

Wには中央アジアに恋人がいたはずだったのだが。

解くべき謎もとい積もる話は続いた。

次会うときは、Wにどんなことが起こるのか。

私は帰国したWに会うために、有給を残しておかないと、と考えた。

 

M.H

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